<南風>地球温暖化


社会
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 初夏の雨上がり。森には黄緑と濃い緑が入り混じり、水蒸気のもやが立ち上る。その先には、明るい青が美しい、浅瀬のサンゴ礁が広がっている。島人にとって当たり前なこの眺めは、生まれ育ちが東京の私には、25年近く沖縄に暮らしても、今だ見飽きることがない。

 沖縄で海洋生物を学び、海の自然を人々に伝えていこうと、私は18年前から学校や地域向けに海の環境教育を行っている。沖縄の海を見続けてきた中で、最も劇的な変化は、温暖化によるサンゴの白化だ。海水温がほんの1、2度上がっただけで、サンゴは生きていけなくなってしまう。

 1998年の夏の白化で、浅瀬のサンゴ礁は壊滅的な打撃を受けた。サンゴだけでなく、サンゴ礁に住む多様な生物も、同時に姿を消してしまった。昔の海をごぞんじの方なら、今のイノー(礁池)は潮干狩りの獲物がとても少ないことがよく分かるだろう。

 水温たった1、2度の変化で、と思うかもしれない。でも、これが体温ならどうか。37度以上あれば微熱、38度は高熱だ。これが数週間も続くことを想像してほしい。サンゴにとっては致命的な温度差なのだ。

 水温上昇は、地球温暖化による気候変動の影響と考えられている。サンゴを守るには、サンゴに対して何かするのではなく、人の社会の温暖化対策が必要なのだ。でも、どうすれば良いだろう。そう思っていた一昨年、グレタさんらの活動が報じられるようになり、沖縄でもこれに呼応して、社会の変化を求める人たちが動き始めていた。彼らと出会い、一緒にやろうと昨年立ちげたのが、現在の団体の前身に当たる「CEDを出そう!沖縄」というチームだった。

 実は、温暖化対策は今とてもおもしろい。市民や社会がどう動いていくのか、連載で伝えていきたい。
(鹿谷麻夕、ゼロエミッションラボ沖縄共同代表)