<南風>市民が動けば社会は変わる


社会
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 2020年1月23日、温暖化問題に関心のある仲間が那覇市内の会議室に集まった。環境活動は初めてというメンバーもいる中、温暖化問題への認識を沖縄で広めるために何をしていくか、意見を出し合った。そして、世界的に広まりつつある気候非常事態宣言(CED)を沖縄県から出したい、ということになった。チーム「CEDを出そう!沖縄」は、この時生まれた。

 中心となる7人で、準備と勉強が始まった。県議会への陳情手続き、資料作り、署名集め…。手探りで、お互いの知恵を出し合った。そして春、よし動こう、という時に、コロナ禍と緊急事態宣言がやってきた。どうしよう!社会的な緊張の中、紛らわしい文言の「気候非常事態宣言」を出す運動には、さまざまな意見を頂いた。それでも私たちが活動を続けたのは、気候危機も待ったなしだと強く感じていたからだ。

 署名をオンラインにし、県議会の各会派と少人数で意見交換会を持ち、6月議会に陳情書を提出。すると翌月の県議会において、気候非常事態宣言を出す方針が県環境部長から説明された。チーム結成からわずか半年。私たち自身が驚きとうれしさに包まれた。市民が動けば社会は変わる!

 9月からは県の温暖化対策の協議会にも参加し、関係者の皆さまと多くの議論を重ねた。そして今年3月、都道府県で5番目となる気候非常事態宣言が、知事から表明された。それは、2050年のCO2排出実質ゼロも盛り込まれた、意欲的な内容だ。

 実質ゼロへのハードルは極めて高い。でも、地球に生きる生命と将来の世代を思うと、「諦める」という選択肢はない。私たちはチーム名をゼロエミッションラボ沖縄と改名し、新たな仲間を募り、実効性のある取り組みを探り始めた。沖縄の皆さん、ぜひ一緒に考えて動きませんか!

(鹿谷麻夕、ゼロエミッションラボ沖縄共同代表)