<南風>主役は私たち市民


社会
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 今年3月に県が発表した「気候非常事態宣言」を、どれだけの人が覚えているだろうか。今年もニュースが新型コロナ中心だったのは仕方がないけれど、地球の気候が危機的であることは、8月に発表されたIPCC第6次評価報告書に嫌というほど書かれている。

 「ドローダウン―地球温暖化を逆転させる100の方法」という本がある。邦訳は昨年出版された。実に多様な側面から、温暖化対策の項目を洗い出し、それらの効果を数字で示し、利点や問題点が述べられている。ひょっとして一番必要なのは、やれることがこんなにある、という私たちの「気付き」ではないか。希望を持つことは、行動の一番の原動力になる。

 仲間たちと一緒に立ち上げた「ゼロエミッションラボ沖縄」は、温暖化対策に関し、市民と専門家や企業、行政が同じテーブルで意見交換する場作りを目指している。この問題に取り組むのは社会の総力戦と思っているからだ。エネルギーや建築、交通の課題は、どれも専門的な半面、市民生活に直結することばかり。市民全体の理解と協力をもっと高めたい。地球は私たちの家であり、壊れた家を次の世代に渡したくはない。自分たちの家は自分たちで直そう。

 必要なのは、とてもたくさんの知恵と、社会を変えようという熱意。沖縄では、この意識がまだ十分ではないように思う。来年、私たちはオンラインで、若い世代の意見交換の場や、専門家に話を聞くセミナーを企画していく。できるだけ分かりやすく、親しみやすく、具体的なビジョンを描き、希望を持てるようにしていきたい。ぜひご参加ください。

 持続可能な沖縄をつくっていくのは、どこかの誰かではなく、自分たちだと思う人が増えていくことを願いつつ、半年間ありがとうございました!
(鹿谷麻夕、ゼロエミッションラボ沖縄共同代表)