<南風>働き方改革とマイクロ企業


社会
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 筆者は「沖縄県よろず支援拠点」という中小企業庁の整備する経営相談窓口で週1度勤務している。「よろず支援拠点」は全国各47都道府県にあり、主に中小・零細企業の、創業から事業承継まで、商品開発・取引先開拓からチラシ・ネット広告まで、多次元で幅広い経営課題をサポートする。対応する相談員は「コーディネーター(CO)」といい、自ら事業や店舗を経営する傍ら、その経験を生かして相談業務をこなす。

 筆者は、「よろず」で法律や海外絡みの多様な経営相談をしている。相談者や同席するCOの話から、世の中にはさまざまな事業とそれに対応する経営課題があることに驚かされる。

 ところで政府は「働き方改革」を推進し、働く人の個別事情に応じた多様な働き方ができる社会を推進している(厚生労働省HP)。背景には少子高齢化に伴う労働人口減少がある。家事や介護、障がいなどの事情があっても、それに応じて働ける仕組みを作って労働人口を確保することが目的だ。

 筆者は「働き方改革」として「マイクロビジネス創業」も推進したらどうかと思う。隙間時間に小物をネット販売したり、特技を教えたり、DIY作業をしたりといった、「小遣い稼ぎ」からビジネスを始めるのだ。うまくいき始めたら、ネット広告や、他業者との連携を工夫して少しずつビジネスを成長させる。

 こうした小遣い稼ぎを複数育てると、一つの企業の従業員として縛られずに、自分の都合に応じた働き方を選びやすくなる。もちろん雇用主の副業の許可を事前に取る必要はあるが。よろず支援拠点では、こうした小遣い稼ぎから始めるマイクロビジネス創業の相談ももちろん可能である。

 相談者から「そんなビジネスもあるのか?」という新しい発見をさせてもらうことを期待している。
(絹川恭久、弁護士・香港ソリシター)