<南風>僕の子どもはLGBTQ


社会
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 私が二十歳の時に両親が離婚した。母は当時住んでいた中部にそのまま残り、父は地元の南部に戻った。

 私は高校時代から20代後半までウエディングの仕事をしていた。その関係で南部に引っ越した。現在は、デザイン系の仕事とカフェ業を営んでいる。父にコンテナを作ってもらい、ドライブスルーができるテイクアウトカフェ(珈琲バルイプル)だ。最近ではイートインができるように外のテラス席を作ってもらった。自然の緑や空を最大限に感じる田舎カフェだ。そこに魅了され、たくさんの人が癒やされに来てくれる。

 私はLGBTQの中のXジェンダーと言って中性的な人だ。そしてバイセクシュアルである。男性も女性も好きになる人のことだ。

 そんな娘を持つ父も、最初は戸惑いがあったはずだ。私はよく初めましての人に、結婚しているか聞かれる。していないと言うと、次は彼氏の話だ。それどころか、世間は本人のことだけではなく、子を持つ親に対しても「子どもが結婚しているのか」まで首を突っ込むからLGBTQの人からすると話しづらい。

 父にとって、自分の子がLGBTQに属することを、誰かにカミングアウトするのは勇気が要るだろう。LGBTQの子を持つと、当事者の私と同じく親もカミングアウトに勇気が要る。自分のことでないにせよ、「変わった子ども」というような世間の目がまだある。

 今では、職場や親族に次々とカミングアウトして父も隠さずに堂々と私の話をしてくれる。YouTubeやお店の宣伝もしてくれるからありがたい。

 誰でも未知の世界は怖い。LGBTQを持つ親も当事者も最初はカミングアウトすることに不安でいっぱいだが、意外にみんな受け入れてくれる。受け入れていないのは、一部の人であり、日本の法律である。
(比嘉利加、フリーランス)