<南風>動き出した沖縄


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今年もあっという間に梅雨の季節となったが、観光客も増え、国際通りは以前とほぼ変わらないにぎわいを取り戻している。那覇の神社に立ち寄ると、中に水着のままの観光客がお参りしていて驚いた。こんな光景も久しぶりだ。

 思い起こせば転勤1年目、この神社のすぐ横にあるビーチでのこと。まだ年も30代、沖縄に来たからには海だと意気揚々と水着に着替え、こんがり男らしくと顔に体に塗りたくってしまったサンオイル。砂浜に寝転び1時間以上焼いた。

 家に帰り鏡を見るとびっくり。もはや焦げた状態で、無かったはずのしわが顔じゅうを張り巡らし、見たこともない老けた顔に変わり果てている。後日、沖縄の海は入るのではなく眺めるものだと、沖縄の人に教わったが後の祭りだった。それ以降、海水浴は数えてたった2回しかない。県外者からは、沖縄に住んでいて海に入らないのはもったいない、と大概驚かれるが、何も知らなかったあのころを懐かしく思い出し、今そのビーチ前のカフェでコラムを書いている。

 1月から始まった連載も今回が最終回。この間、長く続いたコロナ禍は大きく変化し、マスクもようやく外せるようになった。さすがに人と人との距離は以前ほどとはいかないが、だんだんと昔感じた沖縄らしさが戻り、追い風が吹くかのように、われらのキングスも日本一に輝いた。停滞していた何かがまさに今動き出していると感じる。

 ジュンク堂の店舗も先月9年ぶりにリニューアルと、この半年だけでもここでは語りきれない出来事があった。この先もきっとさまざまなことがあるだろう。コラムを読んでくださった多くの方々から激励と、そしてコラム担当の方にも温かく対応していただき、感謝をしたい。これまでお付き合いいただき誠にありがとうございました!
(森本浩平、ジュンク堂那覇店エグゼクティブ・プロデューサー)