<南風>まなざし、ぬくもり感じて


社会
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 職場が7月3日から派遣する訪中代表団の準備のため5月28日から4日間、3年半ぶりに北京を訪れた。

 前回訪中したのは2019年10月末の首里城が焼失した時期。第一報には河北省滄州(そうしゅう)市で触れた。CCTV(中国中央テレビ)は事件の経過を詳細に伝え、琉球と中国の歴史的つながりも時間を割いて報道していた。悲しい出来事ではあったが、故郷のことをこれほど大きく伝えてくれているのかとありがたく感じたのを覚えている。私が沖縄出身であることを知る中国全土の友人からも慰問のメッセージが多数寄せられ、非常に励まされた。

 今回の訪中では関係者や友人と数年ぶりに再会を果たし、いずれからも熱烈に歓迎された。私が北京に来ることを知り、約2千キロ離れている広東省深圳(しんせん)市から飛行機に乗って会いに来てくれた友人もいた。近年の中国に対するネガティブなイメージに一石を投じるには互いに顔を見ながら話すことが重要だと思い、石垣島の友人と北京在住の友人をつないで「日中オンライン飲み会」にも挑戦した。とても楽しく、愉快なひと時だった。メディアが昨今伝えている雰囲気との落差は、あまりにも大きい。

 これまではコロナ禍によって直接交流が約千日以上も途絶え、新聞、テレビ、インターネットなどによる間接情報か、オンラインによる交流で中国の状況を理解するほかはなかった。もちろんメディアから得られる情報も重要だが、それだけでは見えていなかったこともあるだろう。今回は現地に行き、自分の目、耳、鼻、口、体で中国の今に触れるとともに、相手のまなざしやぬくもりを確かめながら交流することができた。非常に重要だと思う。

 本稿が掲載されるころ、私はおそらく訪中代表団事務局として中国の関係先と交流している。このことは回を改めて紹介したい。

(泉川友樹、日本国際貿易促進協会業務部長)