<南風>食育は幼い頃が鍵


社会
<南風>食育は幼い頃が鍵
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 薬膳を学ぶには中医学の基礎知識が無ければ薬膳を語ることができないため東京では主に中医学を学んできた。私は栄養士の仕事は天職と思っていた半面、少し不満もあった。

 私の食に対する思いは、食べることが生きる基盤・人生の目標を立てる中で必然的に仕事を終われば、おいしい物を食べに行こうなど、食でカラダやココロを元気にするという考えである。しかし病院での栄養指導では、どちらかと言うと、食べる分量が決められ、食事制限を強いられることに少し不満を感じることもあった。食事指導は本当に難しい。

 患者さまの食事中に訪問した際のことだ。ある患者さまは、食事制限にかなり不満を持ち、毎日イライラしていると病棟から連絡が入り訪問をしたところ、かなりの怒りを私にぶつけ、食べているご飯を私の顔に吹きかけてきた。

 私はその日はかなりショックだった。もちろん、これまでの食生活が原因で体調を崩したことで食事制限をしなければならなかったのだが、私の心の中では、食べることで心が癒やされ元気になる、もっと違う方法の食事療法はないのか?―と不満に思うことも多くあった。

 退職後に出合った中医学は、とても衝撃的だった。基本は未病予防の考えを中心に、季節の過ごし方やその季節に合った食材を食べて体を壊さないように、また身体が訴えるサインをしっかり感じ、疲れているなら無理をせずおいしい物を食べ、休むというなどの考えだ。

 一生食べることを楽しみにしていくためにも、幼い頃から食事の教育が大切である。何を食べたら体が元気になるのか? 普段から自分の体調に合わない食生活を続けると、大人になるころには体に負担がきて食事制限をしなければならなくなるのだ。

(宮國由紀江、国際中医師)