<南風>病児の成長を保障する


社会
<南風>病児の成長を保障する 宮城雅也、県小児保健協会会長
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 どんなに重度な難病の子どもでも、その子の最大限の可能性を伸ばし成長する権利がある。難病の子は長期に入院生活を強いられる。おとなしくベッドで安静を保って病気治療に専念するだけでは、成長する権利を奪う。高度小児医療(子ども病院)の神髄は難病を治療する高度医療だけではなく、正常な成長を保障してあげることである。

 そのため子ども病院は医療以外の成長を保障する職種を配置している。新生児集中ケア認定看護師、小児専門看護師、小児の公認心理師、チャイルドライフスペシャリスト、医療保育専門士、医療ソーシャルワーカー、特別支援学級教諭、病院ボランティアなどがチームを作り成長を支援する環境を作っている。病棟には必ずプレイルームを置く。子ども自身が病気を理解し手術などの治療を受容できるよう支援している。

 日本の診療報酬制度の中では、難病の子どもの成長を保障する報酬は最近までなかった。小児部門は経営的に不採算部門で、総合病院の中ではどうしても縮小傾向となっていた。そのため本県の「こども医療センター」は付設とせず、全国初の総合病院「南部医療センター」に併設される独立性のある形を取った。

 そして開設前にはなかった「こども医療センター」の名称を正式に命名し併記してもらった。独立型の子ども病院では難しい成人である妊産婦の重度合併症の診療が行えるようになった。そのため最近の子ども病院は、総合病院に隣接または併設される傾向にある。子ども病院の質を高めるために全国38の子ども病院が集まり日本小児総合医療施設協議会を運営している。

 2019年、その総会を沖縄県立こども医療センターで開き、名実ともに全国の子ども病院へ仲間入りできた。余談だが、その時は首里城焼失直後で協議会より復興への寄付も頂いた。

(宮城雅也、県小児保健協会会長)