<南風>中医学とは


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<南風>中医学とは
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 薬膳料理は中医学の基礎知識が必要になる。今回は中医学についてお話したい。食物は薬(クスイムン)という考えが中医学の基本的な考えである。例えば、食材には体で感じる温度がある。唐辛子やショウガなどを食べると、体が熱くなったり、顔が赤く汗をかいたりする。またウリ類などを多く食べると、おなかが冷えることなどがある。

 食材には、体で感じる温度があり、体調に合わせて食することで体が元気になる。また食材にはそれぞれの味があり、甘酸苦辛、しょっぱいなどだ。それは単なる味覚ではなく、中医学では体で反応する作用だと考える。レモン汁や梅干しを食べると顔がくしゃくしゃしてギューッと引き締まり、苦味を食べるとペッと吐き出したくなる。野菜に塩を振ると水分が出てきて柔らかくなるなど、酸味は引き締め、苦味は吐き出すデトックス(有害物質の排出)、辛味は発散や巡らすなど身体が反応するという考え方だ。

 例えば人は、体に老廃物やストレス、熱などがたまり始めると自然に苦い物を食べたくなる。このように人間は自然界の中で生きているので、自然な反応で体内の状態により、欲する味がある。さらに食材は必要な臓器に吸収されるという考えもある。

 「以蔵補臓(いぞうほぞう)」はレバーを食べると人の肝臓に入り、中身汁に使われる胃・大腸・小腸はその臓器に効くという考えだ。なじみ深いのは足てびち。足に良いと沖縄のお年寄りは話す。このように食材はそれぞれの臓器に吸収されている。食べ物は薬(クスイムン)であるというのが中医学の基本的は考えであり、琉球の食医学書「御膳本草」にも同じことが書かれている。食材の持つ力は弱いので、すぐに結果は出るわけではないが、長年自分に合った食材を食していくと、数年で結果が現れてくる。

(宮國由紀江、国際中医師)