<南風>遠方からの家族の支援


社会
<南風>遠方からの家族の支援 宮城雅也、県小児保健協会会長
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 本県は南北400キロメートル、東西1千キロメートルの海域に島々が点在する島嶼(とうしょ)県で、小児医療が担う範囲は広い。こども医療センターが開設され、難病の子どもは南北大東島から与那国島までの遠い島嶼からもやって来る。私自身も悪天候の中、航空機で南大東から小さな赤ちゃんを搬送した経験があり、遠距離を実感している。

 2008年からこども医療支援わらびの会は、先島や遠方からの高度な子ども医療を受診する患児家族のための滞在施設「ファミリーハウスがじゅまるの家」を委託運営している。この施設の運営連絡会議には、病院側の委員もいて病院との連携を強化している。小児保健協会が、先島も含め小児科医療施設等から必要部屋数を調査算出し、沖縄電力グループ百添会から10客室(洋室5+和室5)の新築施設を寄贈していただき開設に至った。

 入院は1カ月以上になる場合もあり、経済負担軽減のため大人1泊1500円とした。そのため宿泊費だけでは採算が取れず、委託費は人件費に費やされ、宿泊中の生活必需品は寄付で補っている。洗濯乾燥機や自炊できる調理設備・食器なども整備している。

 一番大切なのは患児家族が治療に専念できる精神面の支援である。そのためハウスマネジャーがおり、不安や悩みを傾聴し、必要な情報を提供し、少しでも安心できるよう心がけている。常に患児家族に寄り添うことを基本理念としており、一般の宿泊施設との違いがここにある。

 医療センターへの遠方からの緊急入院は家族の不安が強い。落ち込み客室に引きこもるのを防ぐため食事は必ず共有の食堂で行ってもらい、顔の見える関係をお願いしている。家族へのストレスは早期発見が重要で、孤立化の悪循環を防いでいる。時には海外からの利用者もおり、多様性への対応を求められている。

(宮城雅也、県小児保健協会会長)