<南風>家庭を支援する子ども食堂


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 「ももやま子ども食堂」は、さまざまな家庭の事情で「独り」ご飯を食べる「孤食」の子どもに食事を提供し、地域の子どもの居場所づくりに取り組んでいる。

 地域の生活保護世帯の子どもたちを見守り、支援をした親子の変化について書いてみたい。当初は、あまり会話もなく黙々と食事をして帰っていった兄弟は少しずつだが、子ども食堂のボランティア学生や大人たちに話し掛けられ、なじんでいった。毎週来るようになり、友達を誘って子ども同士で来るようになった。学校での出来事を話したり、好きな漫画の話をして大きな声で楽しく笑うようになったり、変化が見られた。
 私は「今日は食堂に子どもたちを迎えに来てもらえますか」と声を掛け、母親の気持ちに寄り添って気軽に食堂に足を運んでもらうように心掛けた。人と関わることが苦手な母親も、時々子どもたちを食堂に迎えに来るようになり、ボランティアの大人たちと一緒に親子で食事をする様子が見られる。次第に母親は笑顔を見せることが多くなった。
 生活保護世帯の子どもたちは経済的な問題で生活の困り事や不安を抱えている場合が多い。「家庭の事情で学校に行きにくくなっている子どもたちや親は相談できる場所がない」などの意見があった。
 そのため、地域のボランティアがいろいろな形で子どもたちを支えている。どのような支援が必要なのか、子どもに寄り添い一緒に考え、具体的な支援が大切だと思う。地域で子育てをする親を孤立させないように、行政と民間のNPOなどで支援をしていく。親の子育てを「お疲れさま」とねぎらうことやサポートが欠かせないと思う。
 子ども食堂は親子の支援の入り口だ。子どもと家庭と地域がつながり、子どもを通じて苦しい状況にある親を支援し、地域ぐるみで家庭支援につなげたい。
(比嘉道子、NPO法人ももやま子ども食堂前理事長)