<南風>「リトル沖縄」と呼ばれるまちから


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 大阪市大正区は人口約6万5千人の内、沖縄出身者とそのご家族が4分の1を占めると言われる、本土で最も沖縄出身者比率の高いまちです。

 私は1985年に大阪市役所に奉職し、2010年に大正区長に就任しました。2012年に当時の橋下徹大阪市長による公募区長として再就任、今に至っています。
 東京都では区長は選挙で選ばれる首長で政治家ですが、大阪市の公募区長は市長が応募者から選抜して任命する行政マンです。しかし、何万人という住民の住む区の行政を統括する権限から見ると極めて首長に近い仕事とも言えます。
 2012年後期のNHK連続テレビ小説「純と愛」は、沖縄県宮古島市と大正区が舞台地となり、以来宮古島市の皆さまとは親しい交流が続いています。
 沖縄3大綱曳きの一つとして有名な与那原大綱曳は、今まで2度にわたり、大綱を船で運び込み大正区でも開催しました。与那原町の皆さまには子ども用の大綱を大正区にご寄贈いただく等多大なご支援を賜っており、今年は与那原町・大正区で友好交流の覚書を正式に取り交わしたいと思っています。
 また、私事では長男が亜熱帯の農業に興味を持ち昨年、琉球大学農学部に入学しました。公私共に沖縄との縁は深まるばかりです。
 大正区は「リトル沖縄」と呼ばれ、沖縄料理店も琉球舞踊や民謡の教室も多いですが、大正時代初期に沖縄からの移住が始まってから現在まで百年余の間には、沖縄出身の方々が苦闘し成功も失敗も重ねられ、それと共にまちが発展してきたという歴史があります。
 これから半年間、そういう大正区と沖縄の歴史と文化、大好きな大正ウチナーンチュの皆さんとのつながり、沖縄との交流などをお伝えしたいと思います。よろしくお願いします。
(筋原章博、大阪市大正区長)