<南風>外国の友だち(1)

 眞嬉(じんひ)が家族で沖縄に遊びに来た。息子が2年の兵役を終えた区切りで。夏の日、一緒に海に行って、ご飯を食べ、花火をした。

 出会ったとき、眞嬉はソウルの女子大生で地下鉄に乗っていた。私は20歳で、一人旅で、降りる駅がわからず混乱していた。「日本語わかりますよ」と眞嬉が声をかけてくれた。

 年も同じで、すぐ気が合った。眞嬉は「真弓とは馬が合う」と言う。留学経験もある眞嬉の日本語はなめらかだ。

 結局、私は予定していた駅では降りず、眞嬉の女友だちも合流して、カフェに行き、焼肉に行き、飲んで、酔って、眞嬉のお姉さんの家に一緒に泊まった。

 インスタントコーヒーを出すおしゃれなカフェの灰皿はすぐいっぱいになる。家では絶対ばれないようにしているというソウル女子たちの喫煙率は高かった。兵役に行く前にカップルで一泊旅行をするのが流行っていて、その後、「一緒の部屋で彼は何もしなかった。そんな彼を信頼するし愛が深まった」と皆必ず言うという。「へえ、しないの?」と聞いたら、「嘘よ!」と言うのでけらけら笑った。

 そんな話をする前の一番最初に、眞嬉は「慰安婦を知っている?」と聞いてきた。びっくりしたけど、「私は知っていて、本当にひどいことでとても申し訳ない。日本政府の態度もひどい。同世代の日本人で知らない人が多くいるのもごめんなさい」というようなことを言った。それでその話はすっかり終わった。

 私がそこで「何それ?」みたいに言ったら、きっとカフェで曖昧に解散だった。孫の代まで謝らせられないと政治家は言うけど、何度でも何代でも謝ればいいと思う。相手の辛さは謝る側が測るものじゃない。

 正しい歴史や事実を知ることは、大事な友だちをあらかじめ失わないために必要なんだと思う。
(上田真弓 俳優、演出家)



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