このコラムで前回までに執筆したように、現在沖縄の建設コンサルタント会社で3D業務などに、週末にはNPO活動にと、高いモチベーションを持って取り組んでいる私ですが、若い時代に心の病で長い期間苦しんだ経験があります。
1992(平成4)年夏、高知の建設コンサルで測量設計業務をしていた私は、好景気での多忙な業務に追われ、夜遅くまでの仕事をこなしながらも、たまの休日にはスポーツで汗を流すといった生活をしていました。徹夜作業を終え、遠方の現場まで車を走らせていたある日の夕方、急激に血圧が異常な値まで上昇し、気を失いかけて病院に緊急搬送。医師も驚くような状態で生死を彷徨(さまよ)いましたが、数日後には回復し自宅に戻ることができました。
ところが、その後の運転中にあの時のことを思い出してしまうようになり、トンネルの中で息苦しくなったり、人ごみには行けないといったパニック障害を発症してしまい、それに悩んでいるうちに鬱(うつ)病も併発。暗闇の中に陥ってしまったのは30歳の時でした。
安定剤や抗鬱剤による治療で仕事はなんとか続けていましたが、薬の副作用で身体がだるくて重く、何を食べてもおいしく感じないため体重は40キロ台まで激減。周りからは怠けているように見られ、「頑張ってね」と掛けられる言葉が非常につらかったことを思い出します。将来への希望は絶望へと変わり、マイナスのことばかり考えて夜も眠れないといった、気力も体力も全く無い状態でした。
このような悔しくて苦しい状態が約8年間も続き、もう一生治らないと諦めかけていた時、ふとしたきっかけで前向きに歩き出すことができ、そして今の自分があります。次回はどのようにして病を克服し、今の私がその経験をどう感じているか。その辺りを執筆したいと思います。
(鈴木浩一(すずきこういち)、技術士)