那覇空港を拠点に整備を専門に扱う「MRO Japan」(MJP)が日本貨物航空(NCA)との業務提携で、貨物機の整備に本格的に乗り出す。沖縄と千葉にある両社の接近は、機体不具合の救援がきっかけとなった。日本では唯一の業態のMJPにとって、今回の提携は新たなステップとなる。
MJPや関係者によると、2021年10月、上空でNCA機に不具合が発生した。那覇空港に臨時で着陸した際、成田から派遣されたNCAの整備チームを迅速にサポートして機体を送り出したのが、那覇に整備施設を持つMJPだった。これを契機に両社は22年にパーツ整備の契約を締結。今回の提携に至ったという。
MJPは全日空グループなどの出資で15年に大阪(伊丹)空港で設立。沖縄県が建設した格納庫を借りる形で19年に那覇空港に拠点を移した。
航空会社は定期的に必要となる長期間の点検や修理を低コストの中国や香港、シンガポールに外注するのが一般的だ。だが新型コロナウイルス禍で国内の航空会社が海外に委託しづらくなり、MJPが代替需要を取り込んだ。
これによって、20年度に売上高が前年度比4.7%増の27億円となり、当初目指していた21年度からの黒字達成は1年前倒しとなった。その後も機体の塗装作業や海外の航空機整備を新たに請け負うなどして成長を続けている。
<用語>MRO
メンテナンス(整備)、リペア(修理)、オーバーホール(分解・点検など)の英単語の頭文字で、世界的には香港やシンガポールの企業が有名。航空機の整備は大きく二つに大別され、一つは出発前に行う外部点検や燃料補給、タイヤの空気圧チェックなどの「運航整備」。約1カ月ごとにエンジンや操縦系統などを点検する「A整備」も含まれる。もう一つが機体を格納庫に入れ、1~2年ごとや、5~6年ごとといった定期的に行う「重整備」がある。整備士には国家資格が必要。
(共同通信)