有料

河野、横路元議長の口述記録を公開へ 年内に衆院HP


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
 河野洋平元衆院議長、横路孝弘元衆院議長

 衆院は河野洋平、横路孝弘両元議長にインタビューし、口述記録を残す調査「オーラルヒストリー」に関する主な作業を終え、年内に衆院ホームページ(HP)で公開する調整に入った。職員や研究者が両氏にそれぞれ約30回聞き取りした。意思決定過程の実態や判断の背景など、豊富な知見を今後の政治に役立ててもらう狙いだ。関係者が11日、明らかにした。

 関係者によると、衆院は議長秘書経験者ら職員でチームをつくり、2019年10月に河野氏への聞き取りを開始。横路氏には20年2月から接触し、昨年11月まで主に大学の研究者が質問した。毎回約2時間で、新型コロナウイルス感染拡大時はオンラインで実施した。

 口述記録には議員活動のほか、生い立ちや政治信念などが含まれる。HPでは、速記録から河野、横路両氏らが事実関係を修正した内容を公開。録音した音声と速記録の全文は数十年後に公開する方針だ。今後、他の正副議長経験者へのインタビューも検討する。

 86歳の河野氏は03年11月~09年7月に議長を務めた。在任期間は2029日で歴代2位。第1次安倍政権の07年参院選で衆参ねじれ国会となり、国会運営に尽力した。官房長官や外相も歴任。野党の自民党総裁として、衆院小選挙区比例代表並立制の導入に関わった。

 2月に82歳で死去した横路氏は09年9月~12年11月に議長を務めた。「社会党のプリンス」と呼ばれ、沖縄返還の直前に国会で日米密約の存在を追及した。1983年に北海道知事に転じて3期務め、96年に国政復帰。17年に政界引退した。


 オーラルヒストリーとは… 重要な出来事に関わった当事者にインタビューし、口述記録を歴史的な証言として残す研究手法。議事録や書簡からは分からない当事者の記憶を引き出し、より深みのある研究を目指す。政治の意思決定過程の検証では、政治家や官僚の証言が有効とされる。「岸信介証言録」や故後藤田正晴元官房長官の回顧録「情と理」などが知られる。