【エルサレム共同=吉田昌樹】イスラエル軍は2日夜、パレスチナ自治区ガザの中心都市、北部ガザ市の包囲を完了したと表明した。イスラム組織ハマスの中核拠点とみるガザ市に地上部隊と空爆で攻勢をかけ、周辺では市街戦も起きた。ガザ地区を南北に分断することで北部住民の避難が困難になり、民間人被害の拡大が危惧される。ブリンケン米国務長官は被害抑制を求め3日、イスラエルを訪問した。
ガザ市は密集地で、地下にはトンネル網がある。軍報道官は、空軍と連携して戦車や歩兵がハマスの指揮所などを攻撃し接近戦も行っていると説明。「地上と地下で」戦闘員らを殺害していると強調した。軍のハレビ参謀総長は、軍兵士がガザ市内に入っているとし、ネタニヤフ首相は「われわれは前進している」と述べた。米CNNテレビは、ガザ北部で2日夜に激しい爆発が続く映像を伝えた。ガザの保健当局は3日、戦闘によるガザ側の死者が9200人を超えたと明らかにした。イスラエル側と合わせ、計1万600人以上となった。
ロイター通信によると、ガザ南部のラファ検問所から境界を接するエジプトに1~2日、外国籍保有者700人以上と多くの負傷者が退避した。検問所は3日も開かれ退避が続く見通しという。
ブリンケン氏は3日、ネタニヤフ氏と会談した。ガザで民間人死傷者が増え続けていることを踏まえ、イスラエルに慎重対応を促す。
一方、イスラエル軍とレバノンの民兵組織ヒズボラの交戦が国境地帯で激しさを増している。イスラエル軍報道官は3日、厳重に警戒していると語った。CNNは2日、シリアのアサド政権がヒズボラにロシア製の移動式防空システムを供与する方針に同意したと報道。ヒズボラはハマスに協力しており、米国が警戒している。