【エルサレム、テヘラン共同】イランは13日夜から14日未明、イスラエルを弾道ミサイルや自爆型無人機で大規模に攻撃した。1日に在シリアのイラン大使館が攻撃を受けたことに対する報復。イランがイスラエルを直接攻撃したのは初めて。イスラエル軍はミサイルや無人機の99%を迎撃したとしている。南部ネバティム空軍基地で小規模な被害が出たほか、少女1人が負傷した。
イスラエルのネタニヤフ首相は14日、X(旧ツイッター)で「共に勝とう」と国民に訴えた。ガラント国防相は「まだ終わっていない」と反撃を示唆。昨年10月から続くパレスチナ自治区ガザでの戦闘が波及し、中東情勢は一気に緊迫の度を増した。
バイデン米大統領は米東部時間13日夜、ネタニヤフ氏と電話会談した。米ニュースサイト、アクシオスによると、バイデン氏は地域紛争に発展することを懸念し、イランへの反撃に反対する意向を伝えた。
バイデン氏は声明で、イランの攻撃を「最も強い言葉で非難する」と表明。先進7カ国(G7)首脳は14日、対応を協議するためオンラインで首脳会議を開催する。オースティン米国防長官は13日の声明で、中東に駐留する米軍が、イランやイラクなどからイスラエルに向け発射された数十のミサイルと無人機を撃墜したと明らかにした。
国連安全保障理事会はイスラエルの要請を受け、イランの攻撃を議論する緊急会合を14日午後(日本時間15日午前)に開く。議長国マルタが明らかにした。
イスラエル軍報道官によると、イランから発射されたのは無人機170機、巡航ミサイル30発、弾道ミサイル120発など。今後の対応は戦時内閣で協議する。エルサレムでは14日未明、ミサイル飛来を告げるサイレンが鳴った。
イラン国連代表部はXで「イランとイスラエルの紛争であり、米国は距離を置かなければならない」と介入をけん制しつつ、報復により「問題は終結したとみなすことができる」として、イスラエルに反撃しないようくぎを刺した。
在シリアのイラン公館攻撃 今月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部の建物が受けた空爆。レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラ支援の中心人物とされ、レバノンやシリアに展開するイラン革命防衛隊の部隊を率いる将官らイラン人7人が死亡した。イラン指導部はイスラエルの攻撃と断定し、報復を宣言した。イスラエルはシリア領内への攻撃を繰り返しているとみられるが、基本的に攻撃を認めることも否定することもない。