沖縄を代表する写真家石川真生さんを追ったドキュメンタリー映画「オキナワより愛を込めて」の公開を前に、東京都内で試写会と記者会見が行われた。
映画では、石川さんが思い出の場所を巡り、「最も大事にしている写真たち」を前に回想する。キャリア初期の1970~80年代、黒人米兵が集まるバーやクラブで働きながら、日記を付けるように同僚女性や彼らを撮影。出会いや別れ、石川さん自身の恋愛を赤裸々に語る。
会見に登壇した砂入博史監督は「彼女の初期作品の美しさやテーマに圧倒された」と話した。米国のレイシズム(人種差別主義)への問題意識から石川さんのドキュメンタリーを作りたいと感じたのが撮影の動機の一つとしつつ、次第に石川さんの半生や語りに引き込まれていったと明かした。
作中で石川さんは、他人を撮ってきた以上、自分も撮られることを拒否しないと宣言。その通り包み隠すことなく撮影に応じたといい、砂入監督は「圧倒されましたし、しびれました」と笑顔で語った。
石川さんは、53年に沖縄県大宜味村で生まれ、沖縄返還協定を巡る71年のゼネストを機に写真家の道に。沖縄にまつわる写真を撮り続け、今年、土門拳賞を受賞した。
映画は24日から沖縄県で先行上映し、31日以降全国で順次公開。
(共同通信)