【エルサレム共同】イスラエル軍は親イラン民兵組織ヒズボラを掃討するためレバノン南部に地上侵攻した。軍が1日、発表した。対象を絞った「限定的」な作戦と主張している。侵攻は2006年7月以来、約18年ぶり。イスラエル軍は同日、イランがミサイルを発射したと発表した。昨年10月に始まったパレスチナ自治区ガザの戦火が拡大した。大規模な地域紛争に発展する恐れが一気に高まり、中東情勢は重大局面を迎えた。
ロイター通信は1日、米政府高官の話として、イランがイスラエルに対して弾道ミサイル攻撃を近く実施する準備をしている兆候があると報道。イスラエル軍報道官は「防空システムの準備は万全だ」と強調していた。
軍報道官は1日、レバノン南部で激しい戦闘が起きていると、X(旧ツイッター)で明らかにした。ヒズボラは応戦する構えで、イスラエル中部テルアビブにある対外特務機関モサド本部を標的にロケット弾を発射したと主張した。地元メディアは破片でけが人が出たと報じた。
米国防総省によると、オースティン国防長官は9月30日、イスラエルのガラント国防相と電話会談し、レバノン国境付近にあるヒズボラの「攻撃用のインフラ」を破壊する必要性で一致した。ヒズボラはレバノン南部に地下トンネルを張り巡らせている。
イスラエル軍報道官は10月1日、各国がヒズボラを国境地帯から撤退させられないなら「われわれがやるしか選択肢はない」と侵攻を正当化。軍はレバノン南部にある25以上の村の住民に北へ退避するよう要求し「ヒズボラが利用している住宅」などに対する広範囲の攻撃を示唆した。予備役の追加招集も発表した。ネタニヤフ首相は「イランの悪の枢軸に対する戦いの最中だ。共に試練の日々に立ち向かおう」と国民に呼びかけた。
イスラエル軍はレバノンの首都ベイルート南部などへの空爆も続行。レバノン保健当局の1日未明の発表によると、過去24時間で95人が死亡、170人以上が負傷した。
軍は9月中旬からレバノン空爆を激化させ、ヒズボラの指導者だったナスララ師らを殺害した。