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冤罪防止に生かす審理を 制度見直し急務 袴田さん再審


冤罪防止に生かす審理を 制度見直し急務 袴田さん再審 支援者の車で日課の散歩に出かける袴田巌さん=日午後、浜松市
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 袴田巌さんの裁判をやり直す再審公判が始まった。冤罪(えんざい)の疑いが強いとされてきた歴史的な事件で、今年3月の東京高裁決定は、捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性にまで踏み込んだ。捜査やこれまでの裁判の問題点を解明し、冤罪防止に生かす審理とすることが求められる。

 憲法は迅速な裁判を受ける権利を国民に保障している。ところが、袴田さんの再審請求は第1次、第2次合わせ42年も争われた。2014年に最初の再審開始決定が出たが、検察の不服申し立てにより、確定までさらに9年を要した。

 再審開始には、無罪を言い渡すべき明らかな新証拠が必要とされ、「開かずの扉」とまで言われてきた。捜査機関が集めた証拠を弁護側に開示する手続きが整備されておらず、長期化の元凶とされている。

 確定死刑囚として拘禁症状が残る袴田さんは87歳、再審公判に代わりに出廷する姉ひで子さんは90歳だ。名誉回復のための時間は限られ、これ以上の遅延は許されない。二度と同じような悲劇を繰り返さないために、再審手続きを巡る制度の見直しが急務だ。

(共同通信)