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袴田さん再審 無罪主張 姉が出廷「真の自由を」


袴田さん再審 無罪主張 姉が出廷「真の自由を」 袴田巌さん
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 1966年に静岡県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務の一家4人が殺害された事件で、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審初公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。拘禁症状が残る袴田さんの出廷は免除され、補佐人の姉ひで子さん(90)が罪状認否で「弟の代わりに無実を主張します。巌に真の自由をお与えください」と訴えた。

 刑事訴訟法は再審開始について「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」があった時と規定しており、袴田さんも無罪となる公算が大きい。

 検察側は、現場の白黒写真や見取り図、手書きの捜査報告書などを示し、近くのみそ工場従業員だった袴田さんの有罪を主張し、全面対決の様相となった。

 事件の約1年2カ月後に血痕が付いた状態でみそタンクから見つかり、確定判決が犯行着衣と認定した「5点の衣類」が最大の争点。再審開始を認めた今年3月の東京高裁決定は、弁護側の実験結果などに基づき「赤みは残らない」と結論付け、捜査機関が捏造(ねつぞう)した可能性にも言及した。

 冒頭陳述で検察側は、袴田さんの着衣であり、本人がタンクに隠したと指摘。血痕に赤みが残り得ると強調した。弁護側は複数人による犯行だとして「検察側の犯人像は事実と異なる」とし、有罪判決が得られるかどうか不安になり、警察や検察が証拠を捏造したと主張。有罪立証を放棄すべきだと訴えた。

 国井裁判長は医師の診断を踏まえ、袴田さんの出廷免除を決めた。弁護団によると、存命中の被告の再審公判で、出廷が免除されるのは初めて。袴田さんは27日、浜松市の自宅で過ごし、午後には日課の散歩をした。

 地裁は、年内に今後4期日を指定。年明け以降も審理が続き、来年春ごろ結審する見通し。

(共同通信)