共同通信 日本臓器移植ネットワークは28日、臓器移植法に基づく累計千例目の脳死判定が行われたと発表した。1997年の同法施行から26年。家族承諾による提供が可能となった2010年以降、脳死臓器提供数は増加し、今年は10月27日時点で100件と過去最多となっている。臓器提供の場合に限り人の死とする脳死の概念が、国民に一定程度、定着しつつある。ただ国内の提供者数は海外と比べて依然少なく、移植を希望する患者の待機期間は長期化。提供数底上げが急務となっている。
国内では1968年、札幌医大の和田寿郎教授（故人）が初めての心臓移植を実施。ただ脳死判定や移植患者の選定などに疑義が指摘され、長く脳死移植が停滞する一因ともなった。
移植ネットによると千例目は、中国・四国地方の病院に脳出血で入院していた60代男性で、今月26日午後7時22分に脳死と判定された。厚生労働省などによると千例の中には脳死判定後に臓器提供に至らなかったケースが27日時点で9例ある。
脳死提供臓器の移植を受けたのは25日までに4347人。9月末時点で移植を待つ人は1万5909人おり、待機期間は心臓で約3年5カ月、腎臓では約14年8カ月と長期に及ぶ。移植ネットによると、22年の人口100万人当たりの脳死提供数は米国44・50人、韓国7・88人と比べ日本は0・88人にとどまっている。
厚労省の資料によると、都道府県別で3月末までの累計提供数が多いのは東京106件、愛知77件。沖縄は12件だった。少ないのは秋田1件、鳥取2件。人口100万人当たりでは新潟が19・3件と最多で、秋田の1・1件が最少だった。沖縄は8・2件だった。
（共同通信）
