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医療用の固定翼機 子ども対象に試験運航


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医療用の固定翼機 子ども対象に試験運航 試験運航に使われる医療用ジェット機の内部。人工心肺装置(ECMO、左)を使うこともできる(JCCN提供)
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 高度な集中治療を必要とする患者を医療用固定翼機で専門の医療機関に運ぶ全国的なシステムの実現を目指し、NPO法人日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク(JCCN)が1日から子どもの患者を対象に試験運航を始めた。

 JCCNは、大阪大病院や国立循環器病研究センターで重い心疾患の治療に取り組んできた福嶌教偉・千里金蘭大学長らが2022年10月に設立。昨年11月から今年1月までクラウドファンディングで資金を募り、1537万円を集めた。

 試験運航は1年間を予定。小児集中治療室(PICU)を持つ医療機関5施設が持ち回りで、医療機関からの要請を受け付ける。医療用ジェット機による搬送が実施されている北海道は対象外。

 搬送が必要だと判断されれば、医師や看護師、医療機器を扱う臨床工学技士のチームがジェット機などの固定翼機で患者を迎えに行き、専門的な治療が受けられる医療機関へと運ぶ。

 原則は18歳未満の子どもが対象で、必要に応じ成人も搬送する。国の補助事業とするために必要なデータを集めるのが目的で、1年間に30人程度の搬送を見込んでいる。

 JCCN理事長を務める福嶌さんは「ドクターヘリでは振動や騒音、スペースの問題で搬送中に高度な集中治療ができず、固定翼機による搬送が必要だ。全国どこでも安心して暮らせる社会にするため、このシステムを実現したい」と話す。JCCNは試験運航や研究のため寄付を募集中。問い合わせは電話06(6872)7869。

(共同通信)