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シェルター整備、離島限定 政府方針 台湾有事、先島を優先


シェルター整備、離島限定 政府方針 台湾有事、先島を優先
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 外国から武力攻撃を受けた際に住民が避難するシェルター整備を巡り、政府がまとめた対象自治体の基準が判明した。島外への避難が困難な離島に限定し、住民の避難計画策定や建設に関する住民説明の実施を要件とする。全国の地下施設については、備蓄機能を備えればシェルターとして活用できる指針も示す。月内に取りまとめるシェルター整備に関する政府方針に盛り込む。関係者が22日明らかにした。

 政府は「台湾有事」を念頭に、先島諸島での整備を優先させる想定。今回の政府方針を基に、自治体と具体的な検討に入りたい考えだ。

 政府はシェルターに関し、ミサイルなどの爆風に耐えられる扉や壁、換気設備を備え、2週間程度滞在できる地下施設を「特定臨時避難施設」と位置付ける。国の財政支援を受けて自治体が整備する。

 離島では、住民が航空機や船舶で島外に避難するのに一定の時間を要し、優先順位が高いと判断した。自治体職員や医療関係者ら島内にとどまらざるを得ない一部住民の避難先も必要となる。

 避難計画策定を要件とするのは、住民避難の後も島内に残る人数をある程度想定し、整備するシェルターの規模を絞り込む必要があるため。先島諸島では、約12万人を九州・山口各県で受け入れる計画を政府と関係自治体で2024年度中にまとめる予定だ。

 住民の島外避難を含め、有事の際の対応全般について地元の理解が不可欠なため、住民説明の実施もシェルター整備の要件とする。政府は23年度補正予算で、シェルターの設備設計や適地調査費用として1億8千万円を確保している。

 シェルターの新規整備とは別に、国民保護法に基づき、都道府県や政令市が指定する「緊急一時避難施設」のうち、地下街や地下鉄駅などの施設に水や食料を備蓄して短期間滞在できる機能を持たせればシェルターと定める方向だ。

(共同通信)