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MF遠藤保が現役引退 元代表、歴代最多152試合出場


MF遠藤保が現役引退 元代表、歴代最多152試合出場 2010年サッカーW杯南アフリカ大会のデンマーク戦、FKで直接ゴールを決める日本代表の遠藤=ルステンブルク
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 サッカー日本代表として歴代最多の国際Aマッチ152試合出場の記録を持つMF遠藤保仁(43)が現役を引退すると9日、J1磐田などが発表した。古巣のG大阪でコーチに就任する。ユーチューブで公開した動画で「26年間という長い、充実した最高のサッカー人生を送れた。ここまで長くやるとは全く思っていなかった」と話した。

 鹿児島実高から1998年に横浜フリューゲルス(当時)入りし、99年に京都へ移籍。2001年からプレーしたG大阪では05、14年のJ1優勝や08年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇に貢献した。14年にJリーグ最優秀選手賞(MVP)に輝き、ベストイレブンには最多の12度選出された。昨年、Jリーグ30周年を記念した表彰でもMVPに選ばれた。正確な技術とパスセンス、広い視野を兼ね備えた司令塔として活躍し、J1での672試合出場は史上最多。昨季はJ2でプレーした。

 日本代表では06年ドイツ大会から3大会連続でワールドカップ(W杯)のメンバー入り。10年南アフリカ大会で直接FKを決めるなど活躍し、ベスト16入りを支えた。

 指導者として歩む今後へ向け「(選手時代と同様に)日々、楽しく」をモットーに掲げ「(ファンを)魅了する選手が一人でも多く出てきてほしい」と話した。

騒がず淡々、プロ26年に幕

 どんな時でも慌てず騒がず淡々と、それでいて玄人をも驚かせるプレーを連発する。遠藤は引き際でも淡々と、そして突然の発表でファンを驚かせた。「オフを満喫したい」と記者会見を開かないのも、彼なりの流儀か。26年のプロ生活に、静かに幕を下ろした。

 98年にJリーグでデビュー。さまざまなタイプの監督の下でプレーし、J1と日本代表で歴代最多の出場数を誇る。速さや強さはなくても、これほど長期にわたって試合に出続けられたのには確かな理由がある。

 「止める、蹴るは誰にも負けないつもり」と、どんな場面でも狂わない基本技術に加え、的確にゲームの流れを読む眼力は群を抜いていた。その上で自らのプレーを強引に押し出すのではなく、味方の長所を存分に引き出すスタイルが、数々の監督はもちろん、周囲の選手から重宝された。

 少年時代、運動会の徒競走ではピストルを持つスターターの指を見て最初の一歩で優位に立とうと考えたという。人とは違う視点を持って工夫を重ね、弱点がありながらも超一流の域に達した。

 チームに血を通わせるかのような存在に、代表監督だった岡田武史氏は「日本の心臓」と評した。正確なキックと絶妙な間合いで、華麗な直接FKや、一時は代名詞となった「コロコロPK」でも人々を魅了した。Jリーグ一筋を貫いた希代のMFは「自分以上の数字を残せる選手が出てきてほしい」と、後進の指導に第二のサッカー人生をささげる。

(共同通信)