日本高野連は19日、今夏に行われる第106回全国高校野球選手権大会の運営委員会を大阪市内で開き、暑さ対策として、一部の日程で試合を午前と夕方に分ける「2部制」を導入することを決めた。大会第1日から第3日の試合数を1日3試合として実施する。暑さがピークとなる時間帯を避けるのが目的。
第1日は、午前8時半からの開会式後、10時から第1試合を行い、午後4時から第2試合、6時半から第3試合を行う。第2、3日の第1試合は午前8時、第2試合が10時35分、第3試合が午後5時の開始。第1日の第1試合は午後1時半、第2、3日の第2試合は2時半で終了していない場合は、原則として試合を中断して「継続試合」とし、翌日以降に中断時点からの試合の続きを行う。
準決勝の第1試合は昨年より1時間早い午前8時、決勝は4時間早い午前10時の開始。
第1日は第1試合後に、第2、3日は第2試合後に観客の入れ替えをする。「2部制」を実施する3日間は、チケットは午前と夕方で別になる。日本高野連の井本亘事務局長は「一歩目を踏み出さないと、いろんな展開が見えてこない。課題を見つけて、4試合で2部制ができるか、可能性を探りたい」と説明した。
夏の甲子園大会の期間中は気温35度を超えるような猛暑が続くため、日本高野連は2022年、「2部制」を含む新しい暑さ対策について議論を始めていた。昨夏の大会では、各試合の五回終了後に、選手らが冷房の効いたスペースで水分補給や身体冷却を行う10分間の「クーリングタイム」が導入された。
第106回大会は8月7日に兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する。
開幕3日間、試験的に
甲子園球場が開場100年を迎える節目の年に、日本高野連が懸案だった暑さ対策で、大きな一歩を踏み出した。ただ、今回は開幕からの3日間を、1日3試合にして限定的に実施する。この試みは、課題を浮き彫りにするための、試験的な意味合いが強い。9日間ある4試合の日に、どこまでフィードバックできるかが、今後の運営のポイントなりそうだ。
今夏の全国選手権大会は、3日間の休養日を含めて17日間で予定されている。1回戦の大会第4日から準々決勝までは1日4試合が行われる。
これまでは、屋外の甲子園球場だけで1日4試合を基本にする方式が改革を難しくしてきた。
過去には、夏の甲子園大会出場を懸けた2018年の京都大会で、1会場の準々決勝を2部に分けた。この時の第4試合は午後7時過ぎに始まり、10時半過ぎに終了した。生徒や保護者の帰宅が心配されたが、京都府高野連の判断を日本高野連が支持した。
午前と夕方に分ける「2部制」は、選手にとっては朗報だ。球児がベストなパフォーマンスをするためにも、日本高野連にはさらに踏み込んだ決断が求められる。
プロ選手からも歓迎の声上がる
高校野球の猛暑対策として「2部制」の一部導入が発表された19日、かつて夏の甲子園大会を経験したプロ野球選手から歓迎の声が上がった。2018年に秋田・金足農高を決勝へ導いたオリックスの吉田輝星投手は「汗がすごかった。リスクが減るのはすごくいいこと」と当時を振り返りながら語った。
13年に群馬・前橋育英高のエースとして優勝した西武の高橋光成投手は「異常な暑さ。(対策は)本当に大事。絶対に考えてあげた方がいい」と口にした。
(共同通信)