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「もう一度だけ連れて行きたい」 元沖縄尚学の金城孝夫監督 愛知で聖地目指す


「もう一度だけ連れて行きたい」 元沖縄尚学の金城孝夫監督 愛知で聖地目指す 愛知黎明の金城孝夫監督=14日、愛知県弥富市
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 古希を迎えても高校野球の指導に冷めることない情熱を注ぐ。1999年の選抜大会で沖縄尚学を県勢初制覇に導いた金城孝夫監督。現在は愛知黎明を率い、70歳にして再び“聖地”を目指している。「野球だけじゃなく人間形成。これほどやりがいがあるものはない」と目を細めた。

 南城市出身。豊見城では後に沖縄水産監督として名をはせた故栽弘義監督の下でプレーした。76年に指導者となり、20年間、愛知黎明の前身の弥富で教えた。休みは大みそかと正月だけのスパルタ練習。それでも好結果は残せなかった。

 故郷に戻り「技術だけではなく人間性を育てることを重視した」と温めていた指導法に転換した。掃除や読書で感性を磨かせ、家庭教師を雇って勉学を奨励。悲願を成就し「技量で勝ったんじゃない。心の底から楽しみ、試合ごとに力を付けていった」と思い返した。

 その後は長崎日大を甲子園に導き大瀬良大地(広島)らを育てた。65歳で引退を考えたが、2019年に愛知黎明で再登板。グラウンドの目と鼻の先に私財を投じて寮を建て、寮生活を支える妻邦子さんと全霊を注ぐ。

 選手の成長を喜び、後進に道を譲ることを思慮しつつも「本音はいつまでも辞められない。もう一度だけ子どもたち、嫁さんを甲子園に連れていきたい」。名伯楽の挑戦は続く。

(共同通信)