【パリ共同】ダウン症のあるモデルとして活躍する菜桜さん(19)=本名・斉藤菜桜、静岡県富士市=が2日、世界のファッショントレンドをリードするパリ・コレクションにゲスト出演した。着物の風合いを生かした豪華なドレスで登場。夢の舞台に立ち、満面の笑みを浮かべた。
菜桜さんはデザイナーのサミーナ・ムガールさんのショーに出演。賛美歌「アメージング・グレース」をバックに、多くの観客らの前で堂々と歩いた。ショーの後「楽しかった。緊張した。今度は米国のファッションショーに出たい」と次の夢を語った。
ダウン症の人は筋力が弱く、まっすぐな姿勢を保って歩くことが難しい面がある。菜桜さんはウオーキングレッスンや自宅の廊下での練習を重ねてきた。母親の由美さん(53)は、ショーでの晴れ姿に感極まって号泣。「かなわない夢だと思っていた。こんな日が来るとは」と喜んだ。
衣装を制作した貸衣装店「みやび」(北九州市)の店主、池田雅さん(52)は「菜桜ちゃんらしくて、とてもかわいかった。いい衣装ができてうれしい」と話した。
菜桜さんは障がい者が通う就労継続支援事業所に行きながらモデルをしている。ファッションイベント「東京ガールズコレクション」の関連企画など国内のショーへの出演を重ねてきた。