世界自然遺産に登録されている竹富町の西表島で、マングローブ林だけにすむガのオオウスグロハラナガノメイガが確認された。太平洋の島嶼地域やインド洋の沿岸地域に広く分布する種だが、国内では沖縄本島で確認された2004年7月以来18年ぶり国内2例目。八重山諸島では初記録となる。8日、琉球大学熱帯生物圏研究センター西表島研究施設の和智仲是助教と九州大学大学院農学研究院昆虫学分野の松井悠樹学術研究員が発表した。
オオウスグロハラナガノメイガは、羽を広げて約2センチの大きさ。小笠原諸島の昆虫の起源地の一つとして八重山諸島の昆虫を調査する過程で、西表島で2022年にオス1個体、メス1個体、2023年にオス5個体の合計7個体を発見、採集し松井研究員が同定した。小笠原諸島にすむオガサワラハラナガノメイガの近縁の種で、今回の発見が未知の生態の解明につながるとみている。
マングローブは昆虫類の「見過ごされた多様性のホットスポット」と言われているという。和智助教は、西表島での発見について「国内最大の面積を誇るマングローブの陸域にも未知の昆虫類や動物が生息している可能性がある」と話し、マングローブに生息する昆虫類の多様性の全貌解明に向けて調査を続ける方針を示した。
研究は4日付で琉球大学資料館(風樹館)が発行する学術誌「Fauna Ryukyuana」で発表された。
(慶田城七瀬)