沖縄県久米島町内の家畜人工授精師が種付けした牛で血統矛盾が確認されている問題で、久米島家畜市場を運営するJAおきなわの普天間朝重理事長が13日、那覇市のJA会館で会見した。「市場から子牛等を購入された県内外の購買者、全国の消費者などに多大なる迷惑と不安をお掛けした。早期の信頼回復に向け県や関係団体と連携していく」と述べ、事態を把握して以降も競りを続けていたことなどを謝罪した。
玉城デニー知事も同日の定例会見で「肉用牛の子牛産地としての信頼を損ねる極めて重大な事案だ」と危機感を示した。県として家畜改良増殖法違反の可能性があるとして授精師が交配に関わった牛の調査を進めるとともに、県内全ての人工授精師について台帳の管理状況などを調査する。
優良種雄牛「安福久(やすふくひさ)」などの精液から人工交配で生まれたと血統証明書に記されながら、DNA検査で別の血統であることが判明している牛が、13日までに計15頭確認されている。このうち11頭は久米島町内の家畜人工授精師(48)が交配した牛となっている。
江藤拓農相は13日の閣議後会見で、JAおきなわから県への報告が2月中旬だったことや、農水省としても新聞社の取材まで事態を把握していなかったことを問題視し、「JAから県への報告が年をまたいでしまっている。県から本省に速やかに報告いただけなかったことも極めて心外だ」と不快感を示した。
その上で、「長年の努力で和牛のブランドを確立してきた。購買者から疑義をもたれることは好ましくない」と語り、ほかにも疑わしい事例がないか迅速な報告と対応を、地方農政局を通じて全国に通告したことを明らかにした。