与那原大綱曳、小綱でつなぐ「400年の伝統」 縮小でも力強く


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 【与那原】新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった与那原大綱曳。20日、与那原大綱曳実行委員会(山内和実委員長)は、400年以上続く綱曳の継承と町民の無病息災を込め、規模を縮小し、神事目的の「綱曳」をした。約60人の綱武士らが参加し、コロナの収束を願い、小さな綱を力強く引き合った。

神事目的の綱曳きで、力強く綱を引っ張る綱武士たち=20日、与那原町の御殿山青少年広場

 綱は7月12日、綱武士らが自主的に集まって製作した。長さは約20メートルで、昨年の90メートルの大綱に比べて4分の1以下となった。綱曳は当初、8月中に開催予定だったが、コロナの感染拡大や県独自の緊急事態宣言によって延期した。9月、緊急事態宣言が解除され、県内の感染者も減少したことなどから、20日の開催に踏み切った。

 場所は毎年大綱曳の会場となる町御殿山(うどぅんやま)青少年広場で。躍動感あふれるボラや鉦鼓(そーぐ)、銅鑼(どら)の音、「サーサーサー」の掛け声に合わせて、透明マスクを付けた綱武士たちが綱を持って登場した。その後女性たちが前舞踊(メーモーイ)で盛り上げた。

綱曳終了後、東西健闘をたたえ記念撮影する綱武士たち

 綱の結合部分にカナチ棒が差し込まれた瞬間、綱武士が全力で綱を引き合った。東西激戦を繰り広げた後、やがて綱は勢いよく東側に引っ張られ、2分12秒後、東が勝ち取った。その後すぐにウマチー綱の時に使われる子ども用の旗頭を掲げてガーエーが披露され、華やかに締めくくった。

 東を統括する座波朝紀(とものり)さん(57)は「昨年に続き東が連勝したのもうれしいが、何より『綱曳』ができたことが一番の幸せ。与那原の綱曳がないと夏は終わらない」と喜びをかみしめた。

 山内委員長は「開催できてほっとしている。400年以上続く伝統を継承できた。来年は通常通り開催したい」と願った。

(金城実倫)