タコの睡眠、ヒトに似ている? 2段階で「レム睡眠」に似た性質も 沖縄・OISTが研究


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「静的睡眠」中のソデフリダコ(OIST提供)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)とワシントン大学による共同研究チームは29日、沖縄近海にすむソデフリダコを用いた実験で、タコには人間などのほ乳類と同様に「静的睡眠」と「動的睡眠」の2段階あることを突き止めたと発表した。起きているように見える「動的睡眠」の状態が、人間が寝ている時に眼球が動いたり夢を見たりする「レム睡眠」に似た性質があるという。

 論文の責任者であるOIST准教授のサムエル・ライター博士によると、2段階の睡眠は、これまでほ乳類などの脊椎動物のみと考えられており、無脊椎動物ではタコの研究が初確認。論文は、同日発表された科学雑誌ネイチャーに掲載された。

「動的睡眠」の段階にあるソデフリダコ(OIST提供の動画より切り取り)

 ソデフリダコは、「静的睡眠」の時には、体色が白くじっとして静かに眠っているが、「動的睡眠」に入ると、体色が濃くなったり、びくついたりするような動きをした。脳波の観測では、1時間に1回、1分程度の「動的睡眠」に入り、人間の「レム睡眠」と同様、起きている時の脳波とよく似ていることを突き止めた。

 実験で「静的睡眠」を妨げると、「動的睡眠」の状態に入るタイミングが早まり、頻度も増えた。これは「睡眠不足を補う行動で、タコがより良く暮らすために、動的睡眠が不可欠なものだと裏付けた」とした。

 タコの脳の構造は、脊椎動物のものとは異なるが、研究チームは「複雑な認知機能を持っていることを示す」とみている。異なる動物の間で似た性質を持つことが判明し「人間はなぜ眠るのか」という謎の解明が期待されるという。

(慶田城七瀬)