[知事訪米]新基地阻止、NYで訴え 「沖縄に民主主義を」


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ニューヨークで講演する玉城デニー知事=11日、米ニューヨーク大

 【ニューヨーク=座波幸代本紙特派員】就任後初の訪米行動で玉城デニー知事は11日午後(現地時間)、ニューヨークのニューヨーク大で講演し、沖縄の民意に反して名護市辺野古の新基地建設を強行する日米両政府を強く批判した。玉城知事は「基地を造る日本、基地を使う米国。どちらも責任の当事者であるはずが、その基地を押し付けられている沖縄からの声はどこへ届ければいいのか。沖縄の民主主義はどこにあるのか」と訴えた。その上で建設阻止に向け、米市民、在米ウチナーンチュらに米国の世論、政府を動かすよう行動を呼び掛けた。

 講演は「多様性の持つ力・沖縄の民主主義の誇り」と題し、県が主催した。会場には在米県出身者や邦人ら約140人が集まった。ニューヨーク大准教授の島袋まりあさん(県系2世)が進行役を務めた。

 玉城知事は、日米両政府と県の対立について「この対立は反米や反基地というイデオロギー的な主張ではなく『これ以上基地はいらない』という生活者のリアルな声だ」と説明した。戦後73年たつ現在も、国土面積の0・6%に、在日米軍専用施設の70・3%が集中する沖縄の現状に加え、政府が新基地建設を推し進める状況に「後戻りできない状態へ追い込まれている」と切迫感を示した。

 日本国内に「日米安保は支持するが、米軍基地は来ないでほしい」という矛盾した国民意識があり、その「民主主義の矛盾(の結果)が『当たり前』のように押し付けられているのが沖縄だ」と強調。防衛省が行政不服審査法を用いて同じ政府の国交省に申し立て、県の埋め立て承認撤回を無力化したことについて「米軍基地を優先するために政府は法の例外規定まで沖縄に押し付けている」と批判した。