入砂島緊急着陸の米軍ヘリ、伊計島不時着機と同じか


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米軍普天間飛行場へ帰還した米軍のAH1Z攻撃ヘリ=15日午前10時54分、宜野湾市の同飛行場(中川大祐撮影)

 【読谷】機体の不具合のため沖縄県渡名喜村入砂島に緊急着陸し、11日に別のヘリにつり下げられて読谷村の米陸軍トリイ通信施設に移送された米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリが、2017年1月にうるま市伊計島の農道に不時着した機体と同一機である可能性が高いことが15日、分かった。いずれも垂直尾翼に同じ6桁の製造番号が刻印されていたため、識者らは「同一機でほぼ間違いない」とみている。本紙取材に対し、15日までに米軍からの回答はなかった。沖縄防衛局は「米側の運用」を理由に回答を控えた。

 入砂島からトリイ通信施設に移送されたAH1Zは15日午前10時39分に離陸し、約15分後に米軍普天間飛行場に着陸したのを本紙記者が確認した。飛行再開に先立ち、米軍から沖縄防衛局や周辺自治体に通知や再発防止策の提示はなかったという。米軍は飛行再開の根拠について本紙取材に「安全確認が完了したためだ」と説明し、「今後も日本の住民や操縦士の安全確保に努めていく」とした。

 識者からは同一機の度重なるトラブルを危惧する声も上がっている。在日米軍を監視する市民団体「リムピース」の頼和太郎編集長は、AH1Zが入砂島からトリイ通信施設へ移送される際、機体番号や所属を記した数字や記号が全てガムテープで隠されていたことに触れ、「機体の詳細が知られて不都合なことがあったのではないか」と指摘。その上で「トラブル機の飛行再開は、市民に大きな不安を与える。米軍は事前に原因を徹底的に究明し、再発防止策を地元自治体へ伝達する義務がある」と述べた。