ウチナーグチ歌って学ぼう イングさん 自作曲、英語で解説


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ブランドン・イング(右)さんの三線の演奏に合わせて「レッツ・シング・ウチナーグチ!」を歌う児童ら=17日、那覇市立金城小学校

 那覇市立金城小学校(川村和久校長)の児童に英語を指導するハワイ出身の県系4世のブランドン・イングさん(28)=北中城村=が作詞作曲した「レッツ・シング・ウチナーグチ!」が話題となっている。三線に合わせて「チューウガナビラ」や「クヮッチーサビラ」などのウチナーグチを英語で解説。児童らが授業の初めに歌っている。動画投稿サイトへの投稿をきっかけに、海外の県系人たちの間でも評判だ。

 「レッツ―」が完成したのは昨年11月。児童らに披露すると「おばあちゃんの話す言葉だ」と歓声が上がった。「自然とカチャーシーを踊りだす子を見たとき、ウチナーンチュの血が流れていると感動した」
 三線を学ぶため2009年に来県し、10年4月から金城小で勤務するイングさんがウチナーグチを学べる歌の創作を考えたのは、「ウチナーグチを学べる授業をしたいが時間がない」と悩む教員に接したことがきっかけ。イングさん自身もウチナーグチを知らない児童にショックを受けた。
 児童らがふざけて「おこづかいちょうだい」と話してきたので「ネーランドー(ないよ)」と返すと、児童はぽかんとした表情を浮かべ、「ウチナーグチが分からないんだ」と驚いた。「出身はどこですか」と英語で質問すると児童らは全員「日本です」と返答。一人も「沖縄」と答えず、違和感も覚えた。
 イングさんは幼いころから、県系2世の祖母から「日本人とウチナーンチュは違う」と言われて育った。05年にハワイ大学の授業で三線を学び始めて、日本語とウチナーグチの違いに気付く。「沖縄には深い文化と歴史があるんだ」と実感した。
 歌をハワイのいとこに送ったら、時々祖母に歌ってあげているという。「今まで英語で孫に話していた祖母が今ではウチナーグチで話し掛けてくれる」とうれしそうに話す。
 「レッツ―」の動画は、イングさんが依頼し、知人のブラジル県系2世の2人が作成した。動画投稿サイトに投稿したことをきっかけにハワイやブラジルの県系人から「催しで歌を使用したい」と要望も届いている。
 現在、続編を創作しながら歌詞をポルトガル語に翻訳中。「世界中のウチナーンチュが自分のルーツを見つめるきっかけになれば」と真っすぐ前を見つめて語った。(仲宗根祐希)

英文へ→Let’s sing Uchinaguchi