海保、パドル奪う 市民批判「命の危険」


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市民の乗ったカヌーのパドルを取り上げ、海に放り投げようとする海上保安官(右)=30日午前11時32分ごろ、名護市の大浦湾(読者提供の動画から)

 【辺野古問題取材班】名護市辺野古の新基地建設に向けた海上作業で30日、抗議するカヌー隊の冨田正史さん(62)のパドルをゴムボートの海上保安官が取り上げ海に放り投げた。冨田さんはカヌーごと拘束された後、別の保安官からパドルは返却されたが、冨田さんは「カヌーに乗っている人間にとって、パドルは命綱だ」と指摘。抗議船の船長は「パドルは暴力を振るう道具ではなく、こぐためのもの。命を危険にさらす行動は慎むべきだ」と批判した。

 30日正午前、大型の浮標灯(ブイ)が設置された作業海域周辺で、抗議のため臨時制限区域を示す油防止膜(オイルフェンス)を乗り越えようとしたところパドルを取り上げられた。「パドルを取ってくれ」と繰り返し訴えたが聞き入れてもらえなかった。カヌー隊の仲間に報告し、その場で保安官らに抗議。対応した保安官の責任者は「私がやらせた」と認めたが謝罪はしなかった。
 冨田さんは「海上で人の命を守ることが使命の海上保安官が命綱を奪った、断じて許されない行為だ。命を守る最低限のルールを守らず、何を守っているのか」と話した。
 一方、沖縄防衛局は30日、大浦湾内に新たに赤色の浮きのついたコンクリートブロックを投入し、大型のブイ2基を設置した。ブロックが投入されたのは4カ所目。昨日まで沖合に十数隻停泊していた海上保安庁の巡視船はこの日は4隻だった。