名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う沖縄防衛局の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡り、県が国の関与取り消しを求めた2件の訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は24日、県の不承認を取り消した国土交通相の裁決の妥当性が争われた訴訟について、県の上告を受理しないと決定した。県側敗訴の3月の福岡高裁那覇支部判決が確定した。国交相が県へ承認するよう是正の指示を出したことの違法性が争われた訴訟は受理し、9月4日に上告審判決を言い渡すと決めた。
是正指示を適法とした支部判決の変更に必要な弁論が開かれないため、県敗訴が維持される可能性が高い。県敗訴となれば、今後は県が是正指示通りに設計変更を承認するかが焦点となる。従わない場合、国は代執行訴訟の提起も検討するとみられる。
支部判決は国交相裁決について「訴訟の対象となる国の関与には当たらない」として、訴えを却下。是正指示については、県の不承認処分に裁量権の逸脱・乱用があるなどとして請求を棄却した。
防衛局は2020年4月、大浦湾の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事のため、県に設計変更を申請。県は21年11月、軟弱地盤の調査が不十分であることなどから不承認とした。国交相は22年4月、県の不承認を取り消す裁決をし、さらに承認するよう求める是正の指示をした。
辺野古を巡る県と国の訴訟はこれまで13件提起された。県が不承認処分の効力回復を求めた抗告訴訟は那覇地裁で、軟弱地盤からのサンゴ類移植訴訟は高裁那覇支部で係争中。