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「戦う姿勢を崩さないで」辺野古訴訟、沖縄県敗訴へ 県民から悔しさや葛藤…複雑な声


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設を巡り、大浦湾側の軟弱地盤の埋め立てを不承認とした県が最高裁で敗訴する見通しとなったことについて24日、県民からは悔しさや葛藤、諦めなど複雑な声が聞かれた。政府方針に対し司法自ら判断を下せないような状況になっているとの懸念や、仮に敗訴しても県は阻止の姿勢を貫くよう強く求める声も上がっている。

 那覇バスターミナルでバスを待っていた会社員女性(37)=与那原町=は「県民の意見を聞かず、国が移設を押し通していることに、諦めに似た感情を持っている人も少なくないのではないか」とおもんぱかる。その上で自身は「普天間飛行場の危険性除去と辺野古の自然環境の保全という面で葛藤する」と話し、苦悩をのぞかせた。平和学習の講師をしている20代の男性は「政府が司法の上にいて三権分立ができていない。原発処理水の放出と一緒で、政府が一度決めたことは変えられないという怖さがある。海外の人にも状況を知ってほしい。県は戦う姿勢を崩さないで」と訴えた。

 18年3月に軟弱地盤の存在を指摘した元土木技術者で市民団体メンバーの北上田毅さんは「厳しい結果が予想されるが、県は最高裁判決に屈することなく、再度の不承認や撤回など、あらゆる手法で埋め立てを阻止してほしい」と望んだ。

 ヘリ基地反対協議会の浦島悦子事務局次長(75)は知事の「不承認」を支持する抗告訴訟を住民として提起した原告20人の1人。「県は初心を貫き、県民の命と暮らしを守るため、私たち住民と協力して頑張ってほしい」と望んだ。(渡真利優人、玉寄光太、中村万里子、金城大樹)