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沖縄の特産品に「カキ」 糸満漁協が養殖産業化 沖水、琉大と協力 来年から流通へ


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県内カキ養殖の産業化発表会に参加した、BAR KEY LARGOの白迫稔浩社長(左から4人目)、糸満漁協の大浜公さん(同3人目)、琉球大学理学部の竹村明洋教授(同5人目)ら=31日、糸満市の糸満漁港

 糸満漁協は、9月に県全域で実施される漁業権免許の一斉切り替えに伴い、1日から本格的に沖縄に生息するカキの養殖を開始する。カキなどを提供する「BAR KEY LARGO」(北谷町)の白迫稔浩代表が流通のコストを抑えることや、県の新たな産業となることを期待して10年前に発案。白迫さんや糸満漁協は2016年から沖縄水産高校などと協力して実現に向け養殖実験などを進めてきた。さらにカキの産卵日特定調査のため白迫さんは琉球大学と研究も実施した。産業化にこぎ着けた関係者らは「糸満から新たな産業を発信していこう」と誓った。

 生産コストや事業拡大のしやすさや、海水をろ過するカキが海をきれいにする働きがあることなどの理由で、陸上ではなく海での養殖にこだわった。養殖実験で22年採苗し、今年生産できたカキは約100キロ。今年の採苗は9月に行う予定で、1トンの生産量を目指している。

糸満漁港内の養殖実験で生産されたカキ

 糸満で養殖されたカキが流通するのは24年の予定。県内カキ養殖の発案者の白迫社長によると、産業化に向け、漁業者の協力を得ることや、養殖を開始するまでのコストなどさまざまな困難があった。

 海や漁業者との調和を重視したという白迫社長は「漁業者の皆さんのおかげで産業化までたどり着けた。今後は規模を拡大し、沖縄のカキが特産品になれば」と述べた。

 糸満漁協の組合員の大浜公さんは「養殖実験自体は大変だったが、こうして産業化にたどり着けてうれしい。糸満から新しい産業を発信していきたい」と意気込んだ。
 (福田修平)