「宮沢和史の琉球ソングブックコンサート」が2月10、11の両日、那覇市のテンブスホールで開かれた。シンガー・ソングライターの宮沢がパーソナリティーを務めるラジオ沖縄の番組のスピンオフとして企画された。取材した11日の公演は、沖縄本島から宮古・八重山、南米まで広がる沖縄民謡を取り上げ、その魅力を語りと歌で立体的に伝えた。
11日は、大城クラウディア、仲宗根創、ルーシーの3人をゲストに迎えた。ゲスト3人の「ナークニー、カイサレー」で幕開け。続けて、母が八重山出身という仲宗根は八重山民謡の「月ぬ美(かい)しゃ」を伸びやかに優しく歌った。
アルゼンチン県系2世の大城クラウディアは「恋(くい)しアルゼンチン」を情感たっぷりに歌った。ペルー県系3世のルーシーも一緒に4人で、普久原朝喜作の「移民小唄」を交互に歌った。ウチナーンチュが故郷を思う心が民謡を通じて会場を包んだ。宮沢は「世界中に沖縄があると感じられる」と語った。
2月4日に開催した第34回新唄大賞(ラジオ沖縄主催)で歌唱賞を受賞した喜友名可奈子も登場。受賞曲「親がなし」を披露した。
後半は「恩納節」や「下出し述懐節」といった古典と「仲風節」が元になった民謡「遊び仲風」を演奏。古典と民謡の違いから沖縄民謡の奥深さを堪能した。
「豊年音頭」などを披露したフィナーレでは、観客がカチャーシーに立ち上がるなど大いに盛り上がった。大きな手拍子に迎えられたアンコールでは、THE BOOMの「島唄」を日本語、うちなーぐち、スペイン語と出演者それぞれの言葉で歌った。
宮沢は「沖縄民謡が好きで沖縄に来た」というほど沖縄民謡好き。若い人が民謡から離れていくことに危機感を抱く。「若い人やウチナーンチュにもっと民謡を知ってほしくて、じっくり解説を付けたラジオと同じようなライブを披露した。今後もいろんな方法にトライしたい」と語った。
(田吹遥子)