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【識者】琉球史全般の研究に役立つ 天理図書館の琉球王国古文書 田名真之氏(県文化財保護審議会)


【識者】琉球史全般の研究に役立つ 天理図書館の琉球王国古文書 田名真之氏(県文化財保護審議会) 田名真之氏
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 近世琉球関連資料は、沖縄戦などの影響により残存数が極めて少ないため、今回、天理図書館が修復した資料群「琉球古文書」は、漆芸だけでなく琉球史全般の研究に大いに役立つことが期待される。原本ほど研究材料として優れた物はなく、今後どのような史実が新たに浮かび上がってくるのか楽しみだ。特に漆芸に関する仕様書は、漆器の彩色に関する新たな知見が得られる可能性があり、美術史の発展に大きく寄与するだろう。

 また古文書の中には、首里城再建時の復元根拠になっている資料もあり、文化的・社会的事業への貢献も期待できる。

 資料群の重要性を粘り強く説いた県内の関係者や、その熱意をくみ取り全面修復を実現された天理図書館の関係者には感謝しかない。いつか沖縄でも、よみがえった古文書を見られる日が訪れることを願っている。

 (琉球近世史)