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輪島塗へ思い寄せて 現地で修業した渡慶次夫妻がトークイベント 3日から支援イベントも 沖縄


輪島塗へ思い寄せて 現地で修業した渡慶次夫妻がトークイベント 3日から支援イベントも 沖縄 浦添市美術館に展示されている渡慶次愛さんと弘幸さんの作品。修業当時の写真も添えられている
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉陽 拓也

 【浦添】浦添市美術館は4月29日、石川県輪島市で2003年から10年まで輪島塗の修業を続けてきた、渡慶次愛さん(44)と弘幸さん(43)夫妻によるトークイベント「輪島のはなし」を開催した。2人は輪島の伝統文化を紹介しつつ、1月に起きた能登半島地震の後に伝統文化も多大な被害を受けたことから「思いを寄せ続けてほしい」と呼びかけた。

 浦添市出身の2人は、県工芸指導所を経て輪島に移住し、現地の職人に師事。多くの職人による分業で完成する工程の中で、愛さんは「塗師」、弘幸さんは「木地師」の腕を磨き、一人前となる「年季明け式」を経て結婚した。

石川県輪島で修業した思い出や復興支援の大切さを語る(左から)渡慶次弘幸さん、愛さん=4月29日、浦添市立美術館
石川県輪島で修業した思い出や復興支援の大切さを語る(左から)渡慶次弘幸さん、愛さん=4月29日、浦添市立美術館

 渡慶次さん夫妻は、情に厚い師匠や弟子との生活や四季折々の風景、自然の恵みを思い出とともに紹介。一方で、1月の能登半島地震で多くの作業所が被災したことも報告した。復興へ立ち上がる人だけでなく、伝統工芸の継承を諦めた人もいるとして「遠い沖縄の地から輪島に思いを寄せ続けてもらえるよう、支援活動を続けたい」と語った。夫妻の思いに賛同した参加者の多くが募金を託した。

 浦添市美術館は1992年に石川県輪島漆芸美術館と友好提携を結び、相互に展覧会を開くなど交流している。今年は四つの時期に分けて企画展「漆器の里 石川県輪島市と沖縄の絆」を開催中。3月20日に始まった現在の展示期間は5月26日まで。さらに6月1~26日、11月6~19日にも開催する。

 渡慶次さん夫妻らは5月3~6日午後1~6時、那覇市壺屋の「Luft shop」で、能登の木を使った作品や、輪島塗の漆器に盛り付けた飲食物を販売するチャリティーイベント「南からの風 能登へvol・1」を開く予定。

 (嘉陽拓也)