沖縄県立博物館・美術館(里井洋一館長)の博物館企画展「新収蔵品展」が21日、那覇市の同館で始まった。6月23日まで。同館が2023年度に収蔵した資料115件1983点のうち、自然史や考古学、美術工芸、歴史、民俗の各分野から計約300点を展示している。久米島町の下地原洞穴遺跡から出土した保存状態が良好なリュウキュウジカの頭蓋骨や、近世期における久米村士の活動を知ることができる楊氏・古堅家の家譜など貴重な資料を紹介している。
美術工芸分野では、琉球王国時代の壺屋焼を代表する「色絵椿梅文茶家(いろえつばきうめもんチューカー)」などを展示している。学芸員の篠原あかねさんは本資料について、おしべや葉脈まで描かれた繊細な筆遣いから、分業で絵師が絵付けをした可能性があり「いまだ明らかになっていない壺屋焼の製作体制の研究への活用が期待できる」と説明した。
生物分野では、伊平屋島に迷鳥として飛来したソデグロヅルの本剥製と交連骨格標本のほか、元高校教諭の喜屋武敬子さんが寄贈した植物標本が紹介されている。
(当銘千絵)