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琉球王国の色を分析 美ら島財団新著刊行 あす講演会


琉球王国の色を分析 美ら島財団新著刊行 あす講演会 新著と講演会をPRする宮城奈々主査研究員(左)と久場まゆみ主査研究員=20日、琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 沖縄美ら島財団が新著「科学の目でみる琉球王国の色とその色材~国宝・琉球国王尚家伝世品をはじめとする琉球・沖縄の染織品を中心に~」を刊行した。2001~19年にかけて那覇市歴史博物館、沖縄美ら島財団、県立博物館・美術館で行われた国宝「琉球国王尚家関係資料」をはじめとする、紅型や織物など美術工芸品143点の非破壊科学調査の成果を一冊にまとめた。25日には発刊を記念し、執筆者による講演会も行われる。

 琉球王国時代に制作された美術工芸品に使用された色材と素材を科学的手法により分析し、得られた知見を広く共有することで、さらなる研究の推進と普及を目指す。

 科学調査の監修は吉備国際大学の下山進名誉教授が担った。

 20日、琉球新報社を訪れた沖縄美ら島財団琉球文化財研究係の宮城奈々係長兼主査研究員は、研究の意義について「色材の詳細が分かることで文献史料とも突き合わせ、美術工芸品の作られた環境や歴史をより深く理解できる。復元制作の参考にもなる」と指摘した。

 同係の久場まゆみ主査研究員は、沖縄研究をけん引する組織による横断的な取り組みも画期的だったと強調し、「琉球王国時代の染織物品に使用された顔料や染料の基礎資料として、染織に関わる製作者や研究者、学生などに広く活用してもらいたい」と述べた。

 書籍は税込み3080円、美ら海水族館×首里城公園公式オンラインショップや県立博物館・美術館内のショップなどで取り扱っている。

 講演会は25日午後1時50分から県立博物館・美術館講堂で開催する。入場無料、先着200人。問い合わせは沖縄美ら島財団総合研究所琉球文化財研究室(電話)098(943)3820。

 (当銘千絵)