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沖縄戦テーマ「平和劇」 慰霊の日上演 体験証言基に制作


沖縄戦テーマ「平和劇」 慰霊の日上演 体験証言基に制作 ガマから出て投降しようと肩を組む(左から)玉城勇子(仲間千尋)、日本兵の村上康夫(新垣晋也)、勇子の父の勇(山内和将)、比嘉正成(野原康市)=6月23日、那覇市のテンブスホール
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 沖縄戦体験者の証言を基に制作した「平和劇」(永田健作脚本・演出)の公演が6月23日、那覇市のテンブスホールであった。本島南部のガマに逃げ込んだ、住民や日本兵のやり取りを中心に描き、平和の尊さを表現した。

 本作の演出である永田や映画監督の平一紘、俳優の新垣晋也によるトークライブもあった。

 平和劇は、これまで県内の学校や県外の公演などでも上演されており、今回も同様のプログラムで実施した。演劇前には永田が、沖縄戦に至るまでの経緯を解説した。

 演劇は本島南部のガマが舞台。ガマの中には、玉城勇(山内和将)と玉城勇子(仲間千尋)親子や教師として教え子を戦場へ送った比嘉正成(野原康市)、日本兵の村上康夫(新垣晋也)ら多様な考えや背景を持った人たちがいた。勇の説得で生きる道を選んだ4人だが、投降しようとガマを出た際、勇が弾に当たってしまう。

 演劇上演後は、沖縄戦をテーマにした作品について永田と平、新垣が語り合った。来年上映予定の映画「木の上の軍隊」の監督と脚本を手がける平は「これまで戦争をテーマにすることから逃げていた」とし、「制作する一番の意義は戦争体験者の話を聞くこと。逃げずに撮りたい」と語った。

 新垣は、沖縄戦を体験していない世代として戦争を伝えることの難しさを指摘し、「(自らの演技で観客に)届かない気もするし届いてはいけない気もする」と苦悩を明かした。

 永田は「戦争体験をしていない人たちが試行錯誤しながらやること自体が平和学習という声もあった。戦争を体験した人たちの気持ちは分からないかもしれないけど、再現できるように試行錯誤したい」と述べた。

 「平和劇」の継続的な上演に向けて実施していた、同実行委員会のクラウドファンディングは目標額を達成した。

(田吹遥子)