南条幸子バレエ研究所は4日、第40回発表会を那覇文化芸術劇場なはーと大劇場で開いた。「バレエ・音楽・美術の総合芸術を創出する」と話す南条は、選曲、舞台背景画や投影するネガの原画制作など細部までこだわった。研究生123人が南条の描く世界観を遺憾なく体現した。
第1部はクラスごとの成長度合いを見せる「グランデビュー・アンサンブル2024」で幕開け。レベルが上がるごとにキレや安定感、ポーズが洗練されていき、高度な隊列移動も見せた。
7演目で構成する奥平潤作曲・編曲のローカル創作バレエ「潮風に吹かれて」も踊った。空手の形とバレエの力強い舞を融合させた「空手バレエ」、馬の軽快な歩行や「ヒヒーン」とのけ反るような様を表現した「コージャー馬小」、琉球舞踊「谷茶前」の踊りも含んだ「サバニの海」など、沖縄らしさとバレエが見事に融合した。
第2部は3章で構成する南条の代表作「宇宙」を披露した。第1章「遙かな星ぼし」で、ライトを持った星ぼしが天の川を作り、織姫(金城羽妙)とひこ星(上里昊斗)がパ・ド・ドゥで喜びの舞と離れ様の名残惜しさを表現した。
ギリシャ神話になぞらえた演出で、星ぼしの卵から生まれた双子座(岸本はな、岸本うた)と、月の女神の衣に隠れてハトに姿を変えた7人姉妹のスバル座が登場した。星座の背景画を背に、優美な舞で観客を引き込んだ。
第2章「惑星」は激しい振り付けや高いジャンプ、高速回転などで巨大なエネルギーに満ちた惑星の営みをダイナミックに表現した。
第3章「銀河の世界」は群舞を披露しながら舞台上に四角の枠を構成していき、先の出演者らが枠の中に収まることで、壮大な銀河を舞台上に創出した。紙吹雪の舞う中、観客から惜しみない拍手が送られた。
(嘉手苅友也)