沖縄戦で略奪され、3月に米国から返還された歴代琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」の修復方法を模索するため、県は8月19~23日に東京文化財研究所による科学分析を実施したと2日発表した。顔料を調べるため蛍光X線を使った分析や赤外線撮影を行ったほか、損傷具合や修復歴を確認するため超高精細撮影を実施した。科学分析の結果は、年内に開催される返還文化財保存修復検討委員会(委員長・田名真之県文化財保護審議会長)の第2回会合で報告する。
県によると、6月上旬には文化庁絵画部門調査官から指導助言を聴取したほか、8月2日には国宝修理装〓師連盟と文化庁歴史部門調査官を招き、顕微鏡を用いた料紙の性質分析も行った。絵画部門調査官からは、修復の全体方針が決まるまでは、返還された4点の御後絵を同時進行で修理することが好ましいとの助言があったという。
県教育庁文化財課の担当者は本年度内に県外へ移送せずにできる科学分析を終わらせ、次年度の修復作業着手を目指したいと述べた。
(当銘千絵)
※注:〓はサンズイに「廣」のマダレなし