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ウィーンと「共存」新たな広がり オーケストラで「かぎやで風」や「諸屯」 3回目「おとゆいコンサート」 主催・ビューローダンケ、那覇市


ウィーンと「共存」新たな広がり オーケストラで「かぎやで風」や「諸屯」 3回目「おとゆいコンサート」 主催・ビューローダンケ、那覇市 「かぎやで風2.0」で共演する琉球古典芸能家とオーケストラのメンバーら=8月30日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと大劇場
この記事を書いた人 アバター画像 嘉手苅 友也

 ビューローダンケと那覇市は8月30日、「おとゆい オーケストラコンサート」を那覇文化芸術劇場なはーと大劇場で開いた。ウィーン交響楽団のメンバーらを迎え、県内外で活動するクラシック演奏家や声楽家、琉球古典芸能家が共演した。昨年から始まった同公演は今回3回目で、過去最多の千人以上が来場。観客は、沖縄とウィーンの共存により音楽の新たな広がりが生まれる瞬間に立ち会った。

 ウィーン交響楽団のゲオルク・ソンライトナーがオーケストラを指揮した。モーツァルト「フィガロの結婚」序曲で幕を開けた。革命の兆しを表すかのように小さな音からの出だしとなり、すぐに全管弦楽の華やかな旋律が噴き出した。祝福するかのような旋律は多彩で本編への期待をかき立てた。

 2曲目は新作初演「かぎやで風2.0」を披露した。副題は「琉球伝統音楽をオーケストラと共存させる試み」。編曲を担った三ッ石潤司は、やんばるの森など琉球古典芸能を取り囲む沖縄の風土をイメージした。オーケストラによる森の中から星空をのぞくようなキラキラとした旋律の後、風、虫、鳥などをイメージした管弦の音が響いた。地謡の芳醇(ほうじゅん)な音も加わり、舞踊家たちがゆっくりと舞った。沖縄の人たちが紡いできた「かぎやで風」の存在は堂々とし、きらめきを増した。

 ウィーン交響楽団の地元の曲として、そのリズム感や音色を沖縄にも届けようと、J・シュトラウス「美しき青きドナウ」の披露もあった。団員らは、ドナウ川をイメージした穏やかな旋律や、活気あるウィーンを感じるワルツのテンポで生き生きと演奏した。

 満たされぬ恋にもだえる女性の情愛を描いた2作品もあった。

 琉球古典舞踊「諸屯」では、憂いを帯びた山城暁(あきら)らの地謡の中、金城真次が振りを抑えて手や目の動きで内面の機微を表現した。

 対照的に、R・シュトラウス「ばらの騎士組曲」では、オペラ歌手の浜田理恵(ソプラノ)、金城由起子(ソプラノ)、依光ひなの(メゾソプラノ)が豪華な伴奏の中で3重唱を披露した。同じテーマでも表現方法の異なる伝統芸能が観客の感性を刺激していた。

 (嘉手苅友也)